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天天好時光

読書

民国時期の歴史を、きちんと学びなおそうと思って、菊池秀明『ラストエンペラーと近代中国』(講談社、2005年)を読んだ。

とくに印象に残ったものとしては、孫文の人間性にスポットを当てていること、北方と南方の文化的な差異を重視していること、が挙げられる。

太平天国の部分は、著者の専門だからでもあろうが、詳細に書かれているものの、一方で、国民党と共産党の対立部分については、いささか荒削りな叙述も見られる。

このように、記述に濃淡があるものの、本書は、中国文化論としても、一読の価値があると思う。

もう一冊。丸尾常喜『魯迅 花のため腐草となる』(集英社、1985年)。これは、レポート課題のために、読んでいる。

本書は、丸尾先生の第一冊目の著書であり、その後、『魯迅 「人」「鬼」の葛藤』『魯迅『野草』の研究』を著した。まずは、本書を読んで、先生の魯迅観をひととおり理解しておいたほうが、あとの二冊を読むときに、便利ではないだろうか、と思う。

基本的に、評伝の体裁を採っているが、単に、一生を追うのではなくて、丸尾先生なりの、魯迅の思想に対する理解がふんだんに盛り込まれている。この点は、丸山昇『魯迅 その革命と文学』、藤井省三『魯迅事典』と比較してみると、面白い。

惜しむらくは、本書が絶版になっていること。再版される日を、首を長くして待っている。
by pangxie | 2006-03-10 01:37
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