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天天好時光

講読テキスト

後期の講読をどんな教材にしようか考えています。

教材は基本的に担当者に任せられていますが

ピンインローマ字なしのものが条件。



前期は最初の数回はHSK方式の短文読解問題を使い

それからしばらく中国で出ている講読テキスト

仕上げに老舎の「買彩票」(宝くじを買う)を読みました。



講読テキストは評判がよかったのですが

老舎は時代背景がつかみにくかったのか、受けが悪かったです。

(僕はこれ大好きなんですが)

最初に学習者向けに書きなおされたものを読み

それから原文を読むつもりだったのですが

予想以上に時間がかかってしまい、原文は読めませんでした。



面白くないとみんなすーっと引いてしまいます。

テキスト選びは重要だと思いました。



僕が大学生の頃、使った講読テキストは

老舎の中編と中国の文化・歴史を概説したもの。

いずれもピンインつきです。

(古典の授業はピンインなしでしたが)

小説を読むのはいちばん効果的ですが

やはり最初はピンインつきがいいと思います。



3年に入ってようやくピンインなしのテキストを読み始めました。

前期は凌叔華の短編でした。

後期は老舎の「四世同堂」。

もちろん一部だけですが。

自習用では北京語言の出している『精読篇』というテキスト。

名前がそのものズバリだったので、即買いしました。



あとこれも語言のですが

『説漢語 談文化』というのも面白かったです。

これは長めの会話文と数編の講読文からなるもの。

最近第二版が出て、MP3もついています。

(以前はカセットテープのみで、本数が多かった)



ほかにもお気に入りはいくつもありますが

今日は大学の時に使ったものを挙げてみました。
# by pangxie | 2011-09-10 22:53

ヘトヘト

今日は午後から試験監督と採点でした。

試験監督は3時間ちょっと。連続で。



休み時間が10分しかなく

その間に解答用紙や問題用紙の集計をしなくてはいけないので

お茶を飲んで一息つく暇すらありません。



試験が終わったら、今度は採点作業。

この学校はその日のうちに終わらせなくてはいけなく

家に持ち帰ることができません。

どれだけスピーディーにやっても、2時間以上かかります。



あまりにできていなくて(今回に限ったことではありませんが)

いったい100点満点なのか、50点満点なのか

自分でもあれっと思うことがしばしばありました。

統一テストだから仕方がない面はあるものの

もう少し学生の実態に合った試験が行えないものでしょうか。



ヘトヘトでしたが、丸善に寄って本を物色していると

別の学校から電話が。

中国人講師の研修が来週から始まるがやってもらえるか、とのこと。

研修講師は引き受けていたのですが

しばらく新規採用はないと思ってたかをくくっていました。



もっとのんびりやっていたいのですが

掛け持ちはそんな贅沢なこと言ってられません。

来るもの拒まずでがんばります。
# by pangxie | 2011-09-10 00:26

愛称

「なでしこジャパン」がオリンピック出場決定とのこと。

これ自体は素晴らしいことです。



しかし「なでしこジャパン」という愛称はどうしても好きになれません。

同時に男子サッカーの「サムライジャパン」も好きじゃありません。



いまどき「女=なでしこ」で「男=サムライ」かよ。

「なでしこ」のような女性がサッカーなんかするの?

「サムライ」だったら負けたら切腹でもするの?



こうした例えがいかに現実とかけ離れていることか。



ふと周作人の

「論不宜以花字為女子之代名詞」

(花を使って女性の代名詞とするべきではないことを論ず)

という論文の存在を思い出しました。



これは1904年に発表されたものです。

「花を使って女性の代名詞とする」習慣が100年以上たったいまでも

相変わらず残っていることに愕然とします。



声高に男女平等が謳われていても

根っこの部分では昔と何ら変わっていませんね。
# by pangxie | 2011-09-09 00:32

普通話と国語

少し前から、台湾に行かれる方の中国語クラスを担当しています。



北京や上海などの大陸で使われている共通語は「普通話」と言われます。

これは発音体系や文法、語彙が北京語に基づくもの。

(実際は北京と上海でも微妙な差異はありますがそれはまた今度にします)



一方、台湾で使われている共通語は「国語」と呼ばれます。

これも発音体系などは北京語に基づいています。



しかし、「普通話」=「国語」というわけではありません。



大陸と台湾は60年以上も統治機構が異なっており

そこで生まれた言語習慣は少なからず社会の影響を受けているからです。



なんといっても大きな違いは、使われている漢字です。



台湾では昔から使われている「繁体字」を今も使用しています。

大陸は50年代に政府が簡略化を推し進めた結果、

「簡体字」が使われるようになりました。


たとえば「広」と漢字。

「繁体字」では〔廣〕、「簡体字」では〔广〕です。



大陸出身者の中には繁体字が読めない人がいますし、

(古典の素養があれば読むことができるが)

台湾出身者は簡体字がわかりません。



つぎに発音の違いを見てみましょう。



〔A和B〕の〔和〕は「~と~」という意味。

「普通話」では〔he2〕(ホー)と発音します。

しかし「国語」では〔han4〕(ハン)と発音します。



中国語で「モノ(物)」は〔东西〕。

「普通話」では〔dong1 xi〕(ドンシ)と

〔xi〕は軽く添えるようにして読みます(これを軽声といいます)。

もしこれを〔dong1 xi1〕(ドンシー)と〔西〕も第一声に読んでしまうと

「東と西」という意味になってしまいます。


つまり、軽声であるか否かが、意味弁別の作用を果たしています。



ところが、「国語」では「モノ」であっても「東と西」であっても

〔dong1 xi1〕と〔西〕を第一声にして読むのです。


「モノ」か「東と西」かは場面や文脈で分かるはずだ

ということでしょう。



「普通話」と「国語」の違いは発音や語彙に限りません。

言語習慣においても、大きな違いがあります。



人の年齢を聞くとき、「普通話」ではその対象が誰かにより

言い方が違います。



①子どもに聞くとき―〔你幾歲了?〕

②自分と同年輩の人に聞くとき―〔你多大了?〕

③お年寄りに聞くとき―〔您多大年紀了?〕



「国語」ではこのような区別がありません。

相手がどんな人であろうと、〔你幾歲了?〕で大丈夫。



かりに大陸で年のいった人に〔你幾歲了?〕と聞いたら

それはいささか失礼な言い方になってしまいます。


(日本語で大人に「~さん、いくつ?」なんて聞くのと同じですね)



日本では「普通話」が圧倒的に優勢です。

だから台湾で中国語(=「国語」)を勉強された方が

日本に帰国して中国語を学ぼうとしたり

検定の対策をしようとしたりすると

どれもが「普通話」を前提としていることに戸惑ってしまうことでしょう。



わたしなどはこれと正反対でずっと「普通話」を勉強してきたものですから

「国語」に慣れておらず、

ある講演会で台湾の大学の教授の通訳をしたときに

「こんなにも違うのか」と手も足も出なかったことがあります。
# by pangxie | 2011-09-07 23:53

復習

今日は陳思和先生の

『中国現当代文学名篇十五講』(北京大学出版社、2003・12)

を読んでいました。

復旦に留学していたとき、陳先生の授業に出ていましたが

そのときのテキストがこれでした。


復習_a0033977_18365728.jpg




毎回たくさんの人が授業を聞きに来ていて、立ち見が出るほど。

そしてみんな目を輝かせて先生の授業を聞いていました。



さすがに100分(休憩10分含めて)立ち見はつらい、ということで

初回の授業で偶然となりあわせになった女子学生と「日中合作」をして

「先に来た人が代わりに席取りをする」という取り決めを行いました。

作戦は功を奏し

毎回前の方の先生の近くの席で授業を受けることができました。

でも、わたしが「席取り」(中国語では「占座」という)をしていると

決まって何人かの受講生が「ここ空いてる?」と聞いてくるのです。

わたしはいつも申し訳ない気持ちで「空いてない」と言うのでした。



陳先生は近現代文学に関する理論をたくさん打ち出しておられますが

なかでも興味深いのは「廟堂」「広場」「民間」といった概念です。

本書でもこれがメインテーマになっています。

いまは別件で忙しいので、このことについてはまた後日余裕ができたら

まとめをしたいと思います。
# by pangxie | 2011-09-05 18:37