普通話と国語
少し前から、台湾に行かれる方の中国語クラスを担当しています。
北京や上海などの大陸で使われている共通語は「普通話」と言われます。
これは発音体系や文法、語彙が北京語に基づくもの。
(実際は北京と上海でも微妙な差異はありますがそれはまた今度にします)
一方、台湾で使われている共通語は「国語」と呼ばれます。
これも発音体系などは北京語に基づいています。
しかし、「普通話」=「国語」というわけではありません。
大陸と台湾は60年以上も統治機構が異なっており
そこで生まれた言語習慣は少なからず社会の影響を受けているからです。
なんといっても大きな違いは、使われている漢字です。
台湾では昔から使われている「繁体字」を今も使用しています。
大陸は50年代に政府が簡略化を推し進めた結果、
「簡体字」が使われるようになりました。
たとえば「広」と漢字。
「繁体字」では〔廣〕、「簡体字」では〔广〕です。
大陸出身者の中には繁体字が読めない人がいますし、
(古典の素養があれば読むことができるが)
台湾出身者は簡体字がわかりません。
つぎに発音の違いを見てみましょう。
〔A和B〕の〔和〕は「~と~」という意味。
「普通話」では〔he2〕(ホー)と発音します。
しかし「国語」では〔han4〕(ハン)と発音します。
中国語で「モノ(物)」は〔东西〕。
「普通話」では〔dong1 xi〕(ドンシ)と
〔xi〕は軽く添えるようにして読みます(これを軽声といいます)。
もしこれを〔dong1 xi1〕(ドンシー)と〔西〕も第一声に読んでしまうと
「東と西」という意味になってしまいます。
つまり、軽声であるか否かが、意味弁別の作用を果たしています。
ところが、「国語」では「モノ」であっても「東と西」であっても
〔dong1 xi1〕と〔西〕を第一声にして読むのです。
「モノ」か「東と西」かは場面や文脈で分かるはずだ
ということでしょう。
「普通話」と「国語」の違いは発音や語彙に限りません。
言語習慣においても、大きな違いがあります。
人の年齢を聞くとき、「普通話」ではその対象が誰かにより
言い方が違います。
①子どもに聞くとき―〔你幾歲了?〕
②自分と同年輩の人に聞くとき―〔你多大了?〕
③お年寄りに聞くとき―〔您多大年紀了?〕
「国語」ではこのような区別がありません。
相手がどんな人であろうと、〔你幾歲了?〕で大丈夫。
かりに大陸で年のいった人に〔你幾歲了?〕と聞いたら
それはいささか失礼な言い方になってしまいます。
(日本語で大人に「~さん、いくつ?」なんて聞くのと同じですね)
日本では「普通話」が圧倒的に優勢です。
だから台湾で中国語(=「国語」)を勉強された方が
日本に帰国して中国語を学ぼうとしたり
検定の対策をしようとしたりすると
どれもが「普通話」を前提としていることに戸惑ってしまうことでしょう。
わたしなどはこれと正反対でずっと「普通話」を勉強してきたものですから
「国語」に慣れておらず、
ある講演会で台湾の大学の教授の通訳をしたときに
「こんなにも違うのか」と手も足も出なかったことがあります。
北京や上海などの大陸で使われている共通語は「普通話」と言われます。
これは発音体系や文法、語彙が北京語に基づくもの。
(実際は北京と上海でも微妙な差異はありますがそれはまた今度にします)
一方、台湾で使われている共通語は「国語」と呼ばれます。
これも発音体系などは北京語に基づいています。
しかし、「普通話」=「国語」というわけではありません。
大陸と台湾は60年以上も統治機構が異なっており
そこで生まれた言語習慣は少なからず社会の影響を受けているからです。
なんといっても大きな違いは、使われている漢字です。
台湾では昔から使われている「繁体字」を今も使用しています。
大陸は50年代に政府が簡略化を推し進めた結果、
「簡体字」が使われるようになりました。
たとえば「広」と漢字。
「繁体字」では〔廣〕、「簡体字」では〔广〕です。
大陸出身者の中には繁体字が読めない人がいますし、
(古典の素養があれば読むことができるが)
台湾出身者は簡体字がわかりません。
つぎに発音の違いを見てみましょう。
〔A和B〕の〔和〕は「~と~」という意味。
「普通話」では〔he2〕(ホー)と発音します。
しかし「国語」では〔han4〕(ハン)と発音します。
中国語で「モノ(物)」は〔东西〕。
「普通話」では〔dong1 xi〕(ドンシ)と
〔xi〕は軽く添えるようにして読みます(これを軽声といいます)。
もしこれを〔dong1 xi1〕(ドンシー)と〔西〕も第一声に読んでしまうと
「東と西」という意味になってしまいます。
つまり、軽声であるか否かが、意味弁別の作用を果たしています。
ところが、「国語」では「モノ」であっても「東と西」であっても
〔dong1 xi1〕と〔西〕を第一声にして読むのです。
「モノ」か「東と西」かは場面や文脈で分かるはずだ
ということでしょう。
「普通話」と「国語」の違いは発音や語彙に限りません。
言語習慣においても、大きな違いがあります。
人の年齢を聞くとき、「普通話」ではその対象が誰かにより
言い方が違います。
①子どもに聞くとき―〔你幾歲了?〕
②自分と同年輩の人に聞くとき―〔你多大了?〕
③お年寄りに聞くとき―〔您多大年紀了?〕
「国語」ではこのような区別がありません。
相手がどんな人であろうと、〔你幾歲了?〕で大丈夫。
かりに大陸で年のいった人に〔你幾歲了?〕と聞いたら
それはいささか失礼な言い方になってしまいます。
(日本語で大人に「~さん、いくつ?」なんて聞くのと同じですね)
日本では「普通話」が圧倒的に優勢です。
だから台湾で中国語(=「国語」)を勉強された方が
日本に帰国して中国語を学ぼうとしたり
検定の対策をしようとしたりすると
どれもが「普通話」を前提としていることに戸惑ってしまうことでしょう。
わたしなどはこれと正反対でずっと「普通話」を勉強してきたものですから
「国語」に慣れておらず、
ある講演会で台湾の大学の教授の通訳をしたときに
「こんなにも違うのか」と手も足も出なかったことがあります。
by pangxie
| 2011-09-07 23:53